ＣＴＩスーパー・バンドが来日、24日の大阪・サンケイホールを皮切りに三回の公演を行なうことになった。

　このグループはＣＴＩレーベルの復活を記念してのスペシャル・バンドで、メンバーは注目のキーボード奏者のジム・ベアードを中心に、ランディ・ブレッカー、ボブ・バーグ、マイク・スターン、マーク・イーガン、ミノ・シネル、デニス・チェンバース、ジョン・ヘリントン、マーク・レッドフォードといった気鋭の実力者揃いだ。

　レギュラーで活動をしているバンドではないから、どういう展開になるのか未知数だが、メンバーの力量から推して相当にスリリングな絡みと熱っぽいステージが期待できそうだ。特にジム・ベアードとドラムのデニス・チェンバースの存在は、このグループが単なるメモリアル・バンドに終わらない強烈な個性を付与するはずだ。

　他のメンバーはフュージョン系の名手だが、マイルスやギル・エバンスのバンドで活躍した面々であり、シリアスな演奏もできる実力派だ。それに、最も信頼できるのは、このグループがＣＴＩの創立者クリード・テイラーが自信をもって選び送りこんできたということだ。

　クリード・テイラーは60年代前半にコルトレーンを育て、さらにスタン・ゲッツのボサノバを世に出し、その後ウェス・モンゴメリーやクインシー・ジョーンズ、ジョージ・ベンソンなどを起用してフュージョン・クロスオーバー音楽の先鞭をつけた伝説的プロデューサーとして知られる。シリアスな音楽と軽いフュージョンの双方を時代のニーズに応えて彼は世に出してきたわけだが、久々の第一線への復帰で何をもくろんでいるのか、そちらの方が興味深い。

　新生ＣＴＩのアルバム第一弾はディジー・ガレスピー他のオールスター・メンバーで《リズムスティック》が既に発表され大好評だが、ラテンやアフリカ音楽を取り入れ、これまでにない新鮮なサウンドを表現している。そして、第二弾がジム・ベアードの予定だ。私たちはアルバムに先行してライブ演奏に接するわけだ。淒腕の仕掛人クリード・テイラーの90年代戦略に期待してみよう。