homeへ戻る
ECM NEWS topへ戻る

 ECM NEWSECM情報

Album cover reproduced by courtesy of ECM Records, Munich
●ジャケット写真はECM Recordsの許諾のもと、掲載しております。(musicircus


June 15, 2012

今週の批評から

Reviews of the Week

 
 ロンドンの日刊紙「タイムズ The Times」のレヴュワーも長く待ちわびていた、ジョン・サーマン John Surman の新作《ソルタッシュ・ベルズ Saltash Bells》(ECM 2266)。

 

 

 
 1994年に発表された《バイオグラフィー(アブサロム・ドウ師の伝記) A Biography Of The Rev. Absalom Dawe》(ECM 1528)以来となる、ジョン・サーマン John Surman の久方振りのソロ・アルバムの登場はじつに喜ばしい出来事である。この烈しい管楽器奏者は英国のジャズ界で数えきれないほど多くの仕事をこなしてきた。しかし、殊にソロの活動となるとより内省的な径路を進もうとする特徴をみせる。この新作は、サーマンが少年時にコーンウォール州 Cornwall を航行中の船舶から耳にした教会の鐘の響きを霊感の源としている。チャイムのようなシンセサイザーのパターンがこだまするなかで、サーマンはサキソフォン、クラリネット、ハーモニカによる即興演奏を展開する。雰囲気に富む全十曲の収録作品はいずれも南西部の風景から霊感を受けて生まれたものだ。3曲目「オン・スタッドン・ハイツ On Staddon Heights」では、霧に射し込む太陽光線のようなシンセサイザーの反覆パターンに被さるようにして、サーマンのバス・クラリネットが湧き出てくる。

ジョン・バンゲイ John Bungey
タイムズ The Times

 
 
 
 ガーディアン紙の批評家ジョン・フォーダムも納得の仕上がり。トミー・スミス Tommy Smith が率いるスコティッシュ・ナショナル・ジャズ・オーケストラ Scottish National Jazz Orchestra と共演したアーリル・アンダーシェン[アリルド・アンデルセン] Arild Andersen の新作アルバム《セレブレーション Celebration》(ECM 2259)。

 

 

 
 鋭敏な感受性に満ち溢れた演奏と、聴き手の心を釘付けにするソロ・インプロヴィゼーション、そして素晴らしい発想のアレンジ(編曲者はクリスチャン・ジェイコブ Christian Jacob、トミー・スミス Tommy Smith、マイク・ギブス Mike Gibbs 他)によって、本作は同時代のビッグ・バンド作品としてめざましい成功を収めている。(中略) アンダーシェンはアップテンポの曲では持ち前の敏捷なテクニックを披露するが、ヤン・ガルバレク Jan Garbarek 作曲の「モルデ・カンティクル Molde Canticle」のような瞑想的な曲では一転して感覚を研ぎ澄ませた演奏を聴かせる。本アルバムは最も優れたコンテンポラリー・ビッグ・バンドの諸手法の詰め合わせであり、その独特のトーン・ポエム(音詩)の雰囲気によって、このビッグ・バンド企画の当初の祝福(Celebration)の相手であるECMレーベルとの広範囲に及ぶ関連性を見事に具現化している。

ジョン・フォーダム John Fordham
ガーディアン紙 The Guardian

 
 


[訳註:本作はさまざまなECMのアルバムから選曲した作品をビッグ・バンドのために編曲した特別コンサートのライヴ録音で、本企画に際して選曲された各曲の作・編曲者並びにオリジナルのECM収録アルバムは以下を参照]

1. May Dance
 デイヴ・ホランド Dave Holland 作曲/クリスチャン・ジェイコブ Christian Jacob 編曲/“GatewayECM 1061 収録

2. Molde Canticle, Part 1
 ヤン・ガルバレク Jan Garbarek 作曲/トミー・スミス Tommy Smith 編曲/“I Took Up The RunesECM 1419 収録

3. Crystal Silence
 チック・コリア Chick Corea 作曲/小曽根真 編曲/“Crystal SilenceECM 1024 収録

4. Ulrikas Dans
 トリグヴェ・サイム Trygve Seim 作曲/オイヴィン・ブレッケ Oyvind Brakke 編曲/“Different RiversECM 1744 収録

5. Independency, Part 4
 アーリル・アンダーシェン[アリルド・アンデルセン] Arild Andersen 作曲/マイク・ギブス Mike Gibbs 編曲/“Live At BellevilleECM 2078 収録

6. My Song
 キース・ジャレット Keith Jarrett 作曲/ジェフリー・キーザー Geoffrey Keezer 編曲/“My SongECM 1115 収録

 
 


(c) ECM Records, Munich. Used by permission.


 
  ※本記事は、ECM が発信する最新情報を ECM Records の許諾を得て翻訳掲載するものです。musicircus  

topへ戻る