November 30, 2012
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| 今週の批評から Reviews
of the Week
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英国の「インターナショナル・レコード・レヴュー」誌
International Record Review に掲載された、アルヴォ・ペルト
Arvo Pärt の新作アルバム《アダムの嘆き
Adams's Lament》（ECM New Series 2225）への批評。
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アルヴォ・ペルト作曲の合唱と弦楽オーケストラのための作品《アダムの嘆き
Adam's Lament》は、2010年と2011年の欧州文化首都
European Capitals of Culture （2010年：イスタンブール Istanbul、2011年：タリン
Tallinn）からの共同委嘱作品で、アダムとイブが堕落する前の時期に関する主題を扱っており、聴き手の心奥に直接的なかたちで到達する、ある種の悲劇的な威厳を備えた作品だと言える。本作はその世界初録音盤に当たり、アルヴォ・ペルト作品の解釈では世界的な権威のひとりであるトヌ・カリユステ
Tõnu Kaljuste が、ラトヴィア放送合唱団
Latvian Radio Choir、ヴォックス・クラマンティス
Vox Clamantis、シンフォニエッタ・リガ
Sinfonietta Riga、エストニア・フィルハーモニック室内合唱団
Estonian Philharmonic Chamber Choir、タリン室内管弦楽団
Tallinn Chamber Orchestra という各団体を指揮しているため、演奏の面で極めて信頼度の高い内容を誇ると同時に、録音技術の面でも万全を期したアルバムとなっている。エデン（楽園）の喪失という大きな出来事を前にした胸を締め付けるような悲嘆（heart-wrenching regret）と超越論的反省（transcendental reflection）が一体となった魔術的なアマルガム（混合物）を体現したペルトの新作の本質を、カリユステの棒は合唱とオーケストラを通じて見事に描き出している。
ピーター・クイン Peter Quinn
インターナショナル・レコード・レヴュー誌
International Record Review
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同じく英国の批評家ピーター・クイン
Peter Quinn が、ヴァレンティン・シルヴェストロフ
Valentin Silvestrov の《セイクレッド・ソングズ（神聖な歌）
Sacred Songs》（ECM New Series 2279）について記事を書いています。
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本盤に収録されている全ての作品は、深い内観と幸福の表現性を特色としている。この新作アルバムの幕を開けるのは７曲から成る「ソングズ・フォー・ヴェスパーズ（晩課のための歌）
Songs for Vespers」（2006）である。曲が始まるや否や、シルヴェストロフの音楽語法がすっかり親しみ易いもので、そして同時に相当奇妙なものであることが了解されるだろう。ロシア正教の教会音楽
Russian Orthodox churchmusic からの影響は誰が聴いても確認でき、またラフマニノフ
Rachmaninov の宗教作品からの遠い反響を聴き取る人も、きっと何人かはいるに違いない。しかしそうした外観の真下には、同時にあらゆる種類の驚くべき仄めかしが潜んでいることも事実で、ごく一部の人々はそうした標（しるし）を聴き取ることができる（マーラー
Mahler の交響曲第２番への共感の合図が少なくとも一回以上は登場する）。シルヴェストロフの歌曲集「サイレント・ソングズSilent Songs」（1974-77）（ECM New Series 1898 に収録）と同様に、本盤所収の作品でも静けさを感じさせる弱音の柔らかい歌唱法が採用され、音楽との極度に親密な関係性が明示されている。こうした表現が積み重なって生じる力は、まさしく驚愕に値するものがある。
ピーター・クイン Peter Quinn
インターナショナル・レコード・レヴュー誌
International Record Review
［註記：本盤には、他に以下の作品が収録されている。「サームズ・アンド・プレイヤーズ（詩篇と祈祷）
Psalms
And Prayers」（2007）、「２つのダビデの詩篇」
Two
Psalms Of David〉（2007）、「２つの聖霊のルフラン
Two
Spiritual Refrains」（2008）、「２つの聖霊の歌 Two Spiritual Songs」（2007）、「３つの聖霊の歌 Three Spiritual
Songs」（2006）］
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(c) ECM Records, Munich. Used by
permission.
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※本記事は、ECM が発信する最新情報を ECM Records の許諾を得て翻訳掲載するものです。（musicircus） |
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