ECM 1165　Gary Peacock - Shift In The Wind

ECM review

Album cover reproduced by courtesy of ECM Records, Munich
●ジャケット写真はECM Recordsの許諾のもと、掲載しております。（musicircus）

Gary Peacock
Shift In The Wind

Gary Peacock bass
Art Lande piano
Eliot Zigmund drums

ECM 1165

So Green
Fractions
Last First
Shift In The Wind
Centers
Caverns Beneath The Zoth
Valentine

Recorded February 1980, Columbia Recording Studios, New York
Engineer: David Baker　
Produced by Manfred Eicher

ECM 1165

　これはもう、どうしようもなく好きな一枚。オレに言わせればこれこそジャズであり、マイルスやコルトレーンを評価する世の大多数のジャズファンに対して“このバカ共が”と絶対に勝ち目のないケンカを売りたくなる程の信仰心を持たせてくれる真に“この一枚”なのだ。

　Ａ-１ So Green で耽美の世界が空間をうずめる。そして時の経過と共に、オレは生きている現実感に目覚め始め、Ａ-３ Last First で射精せんばかりのエクスタシーに身もだえする。Ｂ-１でちょっと一服。２度目の射精がＢ面の終了と共に待ちうけている。

　ゲイリー・ピーコックがリーダーのアルバムだけど、実体はランディのピアノ・トリオといった感じ。エリオット・ジグマンドもサイコーだ。（デジョネットのちんどん屋ドラムでなくて本当に良かった）

　What's Jazz ? って This Is It !　これで決まりね。

大島ガチャ

　いかにもECMらしく現代音楽的要素の濃いピアノ・トリオ。無駄を省いた力強いピーコックのベースは凄い。ランディのピアノもいいが、音に品位が欠ける。オスロ、タレント Studio で録るべき一枚。

須永春彦

　あなたも耳のいい人なら、トリオ・ミュージック以上に気に入るハズ！なあんて（はあと）どうしようもなくスバラシイ作品で、ECMのピアノ・トリオの、Tales Of Another、Ondas と並んでこの３枚は通称“ECM トリオ・トリオ・トリオ”と呼ばれていたのである。信じて！

多田雅範

※本稿は、ECM DIVISION（ECMファンクラブ）の会報『every clue message』第２号［1984年5月発行／発行人：多田雅範］に掲載された原稿を復刻したものです。（musicircus）