ECM 1186　Eberhard Weber - Little Movements

ECM review

Album cover reproduced by courtesy of ECM Records, Munich
●ジャケット写真はECM Recordsの許諾のもと、掲載しております。（musicircus）

Eberhard Weber
Little Movements

Eberhard Weber bass
Charlie Mariano soprano saxophone, flute
Rainer Brüninghaus piano, synthesiser
John Marshall drums, percussion

ECM 1186

The Last Stage Of A Long Journey
Bali
A Dark Spell
Little Movements
'No Trees?' He Said

Recorded July 1980 at Studio Bauer, Ludwigsburg
Engineer: Martin Wieland
Photo: W. Patrick Hinely
Cover Design: Maja Weber
Layout: Sascha Kleis
Produced by Manfred Eicher

ECM 1186

　この一枚がウェーバーの代表作だなんて絶対に言わない。No.2 だとは言うけどね。じゃあ何故この一枚をここに出したのかっていうと、要するにウェーバーの世界に入りやすい作品だからなのよ。

　このＬＰの特徴は、何といっても構成の面白さ。ひとつひとつの曲についてもアルバム全体を通してもそれは言える。ソングライターとしてのウェーバー、プレーヤーとしてのウェーバー。その両面がこの一枚で完璧に近く分かるはずだ。

　じゃあどんな音なのかっていうと、リターン・トゥ・フォーエバーに東洋風のスパイスを加え、ドボルザークでいためる。いためた物をブリューニングハウス製の麗美なピアノではさみ、ハイテクニックをふりかけたもの！といった音なのだ。こんな言い方をすると何か食欲不振の念が襲ってきそうだが、あくまで基本は美しさ。まぁ、今までに絶対に聴いたことのない種類の音であることは保証する。

大島ガチャ

　ウェーバーという人は非常に頭の良さそうな曲作りをし、いかにもヨーロッパ産らしいレコードを出す。しかし“リトル・ムーヴメンツ”は彼のベストではないし、マリアーノでは物足りない。

三武伸一

　ジャケットはマヤ・ウェーバーの手に依るものであり、ゴヤのマヤ連作をパロッていると気付いた諸兄はなかなかのもの。ご覧の通り、裸のマヤ（La Maja Desnuda）なのでより色っぽくない。音の創りもそういったニュアンスなので、じつに美味しく嬉ばせてくれる。本当は着衣のマヤ（La Maja Vestida）の方が魅力的なのだ！ま、ぼくは幼少期に“マーヤン”と呼ばれていたので９点献上。

多田雅範

※本稿は、ECM DIVISION（ECMファンクラブ）の会報『every clue message』第２号［1984年5月発行／発行人：多田雅範］に掲載された原稿を復刻したものです。（musicircus）

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