ECM 1190　Pat Metheny / Lyle Mays - As Falls Wichita, So Falls Wichita Falls

ECM review

Album cover reproduced by courtesy of ECM Records, Munich
●ジャケット写真はECM Recordsの許諾のもと、掲載しております。（musicircus）

Pat Metheny
Lyle Mays
As Falls Wichita, So Falls Wichita Falls

Lyle Mays piano, synthesizer, organ, autoharp
Pat Metheny electric and acoustic 6- and 12-string guitars, bass
Nana Vasconcelos berimbau, percussion, drums, vocals

Spesial Thanks to Steve Swallow

ECM 1190

As Falls Wichita, So Falls Wichita Falls
Ozark
September Fifteenth (dedicated to Bill Evans)
"It's For You"
Estupenda Graça

Recorded September 1980 at Talent Studio, Oslo
Engineer: Jan Erik Kongshaug
Cover Photo: Klaus Frahm
Liner Photo: Rob van Petten
Design: Barbara Wojirsch
Produced by Manfred Eicher

ECM 1190

　愛称“ういちた”（ひらがな的に発音スル）は、パット・メセニーとライル・メイズそしてナナ・バスコンセロスによる作品で、これ以前のパット Group の音楽性からはるかに前進（プログレス）した成果であるといえる。このアルバムで大きく音楽領域を拡げた２人は、それ以後の“オフランプ”、“トラベルズ”にその能力を発揮していくことになる。Ａ面を占める大作“As Falls Witchita …”はスケールの大きな作品で当時きいてたジャコのワード・オブ・マウスと双璧を成すものだった。んでＢ面の Ozark ～ 9月15日、なんとなれば、札幌の地下にあるジャズカフェ“Act”のドアを開けた一瞬！そして疾走！青い空！風にのるんだナウシカ！ → 静寂、北国の街、雪の降るサッポロ、追想、哀愁 → きみのために It's For You てな具合に進行してゆく。泣ける！もーもーもー本当はもっとミー派の支持するアルバム入れてよォ。ぼくのアルバムジャケットには、なんとパットとライル・メイズのサインが入っているんだけれども、もとはと言えばぼくはこのアルバムに魅せられてECMファン・クラブを作ったようなものだから、彼らにインタビューしに行って、その手と握手したときはもう感無量だったんですよ。“ああ、これがあの曲を創った手なのだ”（はあと）。という具合で。政治的にはアメリカって大嫌いなんだけれども、パットの音楽は実にアメリカの良心だな、うん。フロンティア精神の雄大なアメリカン・ミュージックで、アメリカさん、あの民主主義を思い出して！レーガンはどんどん悪くなってるけども、パットの新グループこれは凄そうですヨ。状況はどんどん悪くなってるのに、音楽はどんどん素晴らしくなってゆく。社会と文化は一体どうなってるのか、パットを聴きながら考えると短絡的に“愛”なんぞに逃避しちゃいそう……。

多田雅範

※本稿は、ECM DIVISION（ECMファンクラブ）の会報『every clue message』第２号［1984年5月発行／発行人：多田雅範］に掲載された原稿を復刻したものです。（musicircus）

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