《TSFJAZZ LIVE》で、贅沢ジャズライブ三昧の日々。

今フランスのFMラジオ局TSFをご存知ですか？　もともと、“Télégraphie Sans Fil”、つまり、「無線電信」と訳される、「ラジオ」を示す古語の省略形がそのまま放送局名になっているFMラジオ局です。創設当初よりジャズと情報提供を中心に据えています。フランスから輸入されるジャズCDには、しばし TSF のロゴマークステッカーがついているため、この名前に見覚えのある人も多いのではないでしょうか。■

1999年に、ラジオ・ノヴァ（Radio Nova）という、やはり有名な音楽専門ラジオ局のオーナーである Jean-François Bizot 氏と、ジャズ批評家としてジャーナリズムの世界で活躍した故・Franck Ténot 氏に買収されたTSFは、今では「TSFJazz」との名の下で、「“24h/24, la seule radio 100% Jazz”（24時間365日、100％ジャズをかける唯一のラジオ局）」というスローガンを掲げて運営しています。その言葉どおり、番組でかかる音楽はすべてジャズ。Webサイト上のプレイリストにはアルバム名まで記載されており、30秒の試聴もできるため、オンエアされた曲を後日簡単に探し出すこともできます。

そんな TSFJAZZ の番組の中でもとくにお勧めしたいのが、“JAZZ LIVE”という番組です。ホスト役に TSFJAZZ の専属DJである Jean-Charles Doukhan（ジャン-シャルル・ドゥカン）氏を迎え、平日の夜20時から、ジャズライブを楽しめます。ジャズ・ジャイアントの歴史に残るコンサート音源や、ジャズフェスティバル音源の放送もありますが、何よりも魅力に感じるのが、Duc des Lombards や New Morning といったパリの有名ジャズクラブにおけるライブの生録音音源と、Doukhan 氏による出演ミュージシャンへの独占インタビューでしょう。

今週月曜日に放送された、Marcel Loeffler（マルセル・ロフラー）のクインテットライブ中継は、9月末に発売されたばかりのアルバム“Around Gus”の収録曲を中心に据えています。また、9月23日に放送された Giovanni Mirabassi Trio（ジョバンニ・ミラバッシ・トリオ）のライブ生録音は、今年9月で没後30年を迎えた Bill Evans（ビル・エヴァンス）にオマージュを捧げるイベント“30th Bill Evans Anniversary”の一環であることから、G.ミラバッシが自身のオリジナル曲以外をたくさん演奏する模様が聴けるなど、旬のライブ企画をほぼリアルタイムで聴けるのが魅力です。また、観客の拍手や歓声も収められているため、ライブの臨場感が伝わって、まるでパリのジャズクラブに迷い込んだような錯覚に陥ります。

Marcel Loeffler Quintet ■

Giovanni Mirabassi Trio ■

TSFJazz のライブ収録音源に限り、“JazzLive”のWebサイト ■ から聴くこともできますが、iPodで“TSFJazz Live”の PodCast をダウンロードすれば、素晴らしい演奏を繰り返し愉しむことができます。この番組のお陰で、最近の我が脳内は、つねにパリのジャズクラブにいる状態になっております。次にだれのライブ中継がアップされるのかが楽しみな、今日この頃なのです。


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