ここ数年来恒例の、夏のジャズ・フェスティバルは大型化し、参加グループも世界の第一線級が勢ぞろいの豪華さを誇っている。

　とりわけ今年はエベントの数も多く、９月まで、日本列島を世界のジャズメンが駆けめぐるが、このブームの火つけ役になったともいえる「ライブ・アンダー・ザ・スカイ」が先日東京で行われた。この公演の後、８月中旬まで全国を巡ったので、多くの人々が彼らの熱演をじかに聴かれたことだろうが、ソニー・ロリンズ、ウエザー・リポート、チック・コリア、クルセイダースといった現在のジャズ・シーンの核をなすグループがすべて登場した東京公演は四日間行われ、力演が展開された。

　初日のウエザーは、ジャコ脱退というハンディを新メンバーの活躍で切りぬけ、安定したグループ・サウンドを聴かせた。シンセサイザーを中心としたバンドではウエザーが相変わらず、世界最高の完成度を保っていることは明瞭だ。

　二日目のクルセイダースは今やジャズを超えて、あらゆるブラック・ミュージックの中枢の役割を担っているバンドだが、今回は新作「ゲットー・ブラスター」にも参加したソウルのラリー・グラハムをゲストに、黒人でしか表現できないダンス音楽を聴かせ、ロック世代の若者を終始ノセまくった。十年以上、フュージョンをリードしてきたウエザーとクルセイダースの安定ぶりは驚異的といえる。