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　ECM NEWS／ECM情報

Album cover reproduced by courtesy of ECM Records, Munich
●ジャケット写真はECM Recordsの許諾のもと、掲載しております。（musicircus）


December 13, 2010
《クアラ》がエンマ賞を獲得

Kuára wins Emma Award
　
　マルック・オウナスカリ Marrku Ounaskari、サムリ・ミッコネン Samuli Mikkonen、ペール・ヨルゲンセン Per Jørgensen という、フィンランド人２名とノルウェー人１名からなるトリオのECMデビュー作《クアラ Kuára》［訳注：ロシア連邦内のウドムルト語で「響き」の意味］（ECM 2116）が、フィンランドの高名な音楽賞「エンマ賞」 Jazz Emma Award の年間最優秀ジャズ・アルバムを受賞しました。

 　
　 　以下、公式プレスリリースから引用します。

 　
　 　ドラマー、マルック・オウナスカリ、ピアニスト、サムリ・ミッコネン、ノルウェー出身のトランペッターで歌手のペール・ヨルゲンセンのトリオが生み出したこの音楽は、北欧ジャズの伝統を現代的なスタイルで継承したものだと看做しうる。審査評では、本作はジャズの手法を用いて描出した、ロシア国内のフィランド人のフォーク・ミュージック（民謡・民俗音楽）の遍歴譚であると述べている。審査評ではさらに、本作では聴き手とって“親しみ深い”感覚とフィンランド国外の“異質な”感覚 ［下記訳註を参照］ といった微妙な雰囲気が同時に提示されている点を指摘し、それを可能にしたこのトリオならではの能力を賞賛すると共に、彼らの音楽が含み持っている繊細な感受性と強力なヴィジョンを絶賛している。

 　
　フィンランドのエンマ賞は北欧圏ではグラミー賞に匹敵する大きな名誉ある賞ですが、フィンランド出身者と無縁な作品に贈呈される機会は滅多にありません。ECMのカタログでは、1992年にラオル・ビョーケンハイム Raoul Björkenheim のバンド、クラカタウ Krakatau の《ヴォリション Volition》（ECM 1466）が同賞を受賞しています。

 　
　

［訳註］

　本作が素材として扱っている音楽は、同じウラル語族フィン・ウゴル語派に属しながら国境を分かたれている、ロシア連邦内のウドムルド Udmurtia 〔ウドムルド人 Udmurtian〕（現在はウドムルト共和国を組織）とヴェプス Vepsä 〔ヴェプス人 Vepsian〕、そしてフィンランド南東部からロシア北西部にかけて居住するカレリア Karelia 〔カレリア人 Karelian〕 といった、この地域一帯の先住民たる少数民族が伝えてきた民謡。

　同じ言語をルーツにもちながらも現在はロシアの領域内に属し、フィンランド国内のウゴル語派とは違ったかたちで継承されている民謡が湛える非キリスト教の自然神秘主義的な宗教性に対して、オウナスカリとミッコネンは強い関心を抱いていた。

　このアルバムではその本質がECMならではの即興の手法で幅広いかたちで展開されている。またアイヒャーの示唆によって数箇所でロシア正教の聖歌が挿入されている。

　本作のレコーディングは、オウナスカリが参加したシニッカ・ランゲラン Sinikka Langeland のECM作品《スターフラワーズ Starflowers》のセッション後、アイヒャーからの提案があって実現した。


関連記事：　ECM情報 July 23, 2007
「シニッカ・ランゲランのアルバムへの示唆に富む批評」 ■

 　
　
　
　
◆ musicircus による補足情報

ウェブサイト“RootsWorld”に掲載された、本作《クアラ Kuára》についての有益なレヴューをご紹介します。

Markku Ounaskari, Samuli Mikkonen, Per Jorgensen /
Kuara: Psalms and Folksongs　(ECM Records)
http://www.rootsworld.com/0603123/reviews/kuara10.shtml


上記リンク先のレヴューの筆者タイラン・グリロ Tyran Grillo は、在ニューヨークの音楽家／ライターです。ECMに特化した素晴らしいウェブサイト“between sound and space　ECM Records and Beyond”を展開中です。
http://ecmreviews.com/


 　
　


(c) ECM Records, Munich. Used by permission.


 　
　 ※本記事は、ECM が発信する最新情報を ECM Records の許諾を得て翻訳掲載するものです。（musicircus） 　

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