February 18, 2004
|
| 米国でトリオ・ミディーヴァル［トリオ・メディイーヴァル］が熱狂の嵐 America
in Mediaeval Fever
|
|
|
| |
スカンジナヴィアの女声三重唱団トリオ・ミディーヴァル［トリオ・メディイーヴァル］
Trio Mediaeval が、初めての北米ツアーで聴衆と批評家のいずれをも魅了しました。報道は、ワシントン・ポスト
Washington Post からタイムアウト
Time Out に至るまで、各紙誌ともすべて絶賛ばかりで、ニューヨーク・タイムズ
New York Times では主要な記事として扱われるなど、非常に幅広く、一気に弾けたような盛り上がりを見せています。
その中から、ウォール・ストリート・ジャーナル
Wall Street Journal に掲載されたグレッグ・サンドウ
Greg Sandow の熱狂的な批評をご紹介します──。
|
|
| |
私が思うに、このグループは聴衆の心を瞬時に引き付けてしまったようだ。印象深く、溌剌として、静かに落ち着いていて、だが驚きをもたらすその瞬間だけは決して穏やかではないその響きによって──。クラシック音楽に関するいかなる専門的知識がなくても、一切心配することはない。普段あなたが読書をしたりあるいは絵画を観賞するのと同じように、ただ耳を傾ければそれで十分。中世の音楽は、ある面ではあまりに古い時代のものであるがゆえに、その響きを聴いても少しも古めかしい感じがしない。おそらくそれは、中世音楽の響きが今日われわれが知っているさまざまな時代の音楽の歴史からはずっと抜け落ちたままでいたことの表れなのかもしれない。たとえば、彼女たちがある和音を奏でながら旋律を歌っているように聴こえたとしても、しかし、彼女たちの演奏がその時提示しているのは、その後の西洋音楽の歴史では選択されなかった道筋なのである。つまりそこでは現代に至るまで何世紀もの間、西洋クラシック音楽では使用しないことになっていた純正律による和音が鳴り響いているのである。これこそが今、われわれが彼女たちの演奏を聴いて感じる、中世の音楽でありながら、それが少しも古いものとは思えない理由のひとつであるに違いない。したがって、まさにこの音楽こそ新しいと言えるのだ。
グレッグ・サンドウ Greg
Sandow
ウォール・ストリート・ジャーナル Wall Street Journal
|
|
 
|
もちろん彼女たちは、時には現代の作曲家がトリオ・ミディーヴァルの声と個性を新たに調合して生み出した、文字通り新しい響きを演奏することもあります。ギャヴィン・ブライアーズ
Gavin Bryars、オレック・ハルカヴィ
Oleh Harkavyy、アイヴァン・ムーディ
Ivan Moody の三人の現代の作曲家が、トリオ・ミディーヴァルの２枚目のアルバム《ソワール、ディテル（夕方と彼女は言う。）
Soir, dit-elle》（ECM New Series 1869）のために新作を書いています。この新作アルバムは、現在アメリカのレコード・ショップで飛ぶように売れていて、ビルボードのクラシック・チャートで第7位にランクインしています。さらにこの大きな波は、彼女たちのECMでの第１作《天使の言葉 Words of the Angel》（ECM New Series 1753）への再注目をも呼び起こしています。
一方、ノルウェーのオスロ Oslo では聖マーガレット教会
argaretakyrkan での特別演奏会と共にリリースされた新作アルバムの売上が絶好調です。また欧州各国のプレスの反応も、米国同様にポジティヴなものがほとんどです。以下は、英国グラモフォン誌
Gramophone magazine に掲載された、マーティン・カリンフォード
Martin Cullingford のレヴュー記事より。
|
|
| |
本作では、収録されている作品が、現代と中世の550年を超える時代の裂け目を前後に絶え間なく行き来しながら登場してくるにもかかわらず、その曲と曲の繋がり方に大きな乖離の感覚を受けることは一切ない。彼女たちによる本作での同時代的なアプローチが成果を獲得しているのは、むしろ、その乖離の感覚の無さに起因するものであると言えよう。結果として、ここでの演奏は、いつも特定の歴史と文脈上の感情移入と認識がすっかり染み込んでいるのを自覚している聴き手にとってさえ、作品の楽譜の起源に拘泥することなしに、晴朗かつあらゆる制限から解放された響きとして受け止められるのである。
マーティン・カリンフォード Martin Cullingford
英国グラモフォン誌 Gramophone
magazine
|
|
| |
(c) ECM Records, Munich. Used by
permission.
|
|
| |
※本記事は、ECM が発信する最新情報を ECM Records の許諾を得て翻訳掲載するものです。（musicircus） |
|