February 8, 2008
| ドイツ・ジャズ・チャート、米国プレスにおけるECM作品の動向 ECM in German Jazz Charts - and US Press |
ポール・モーシャン［モーション／モチアン］ Paul Motian／ビル・フリーゼル Bill Frisell／ジョー・ロヴァーノ Joe Lovano
（ECM 1992）
| 音楽界で最も狡猾で機知に富んだトリオのひとつが放つ、非凡なるジャズ・ノワール（jazz-noir）の新たな局面。ポール・モーシャンはポスト・バップにおける最も巧みなミュージシャン、最も奇妙な作曲家のひとりである。 |
ジャレット Jarrett／ピーコック Peacock／ディジョネット DeJohnette
（ECM 2021/22）
| ジャズの世界では沢山の死んだ馬に鞭を打ち続けるようにスタンダード作品を取り上げているミュージシャンが殆どといえるが、しかし活動を開始して四半世紀が経つこのトリオの演奏は、そもそもスタンダード曲のメロディがどれほど素晴らしいものであるかを、私たちに改めて気付かせてくれる。 |
ジョン・アバクロンビー John Abercrombie
（ECM 1993）
| ピックの使用を止めて以降、かつて万能型ギタリストとして名を馳せたアバクロンビーは、数少ない音で充実したメロディを奏で、また優美な和音を扱う、ジャズ・ギター界の頂点に到達して久しい。この新作でアバクロンビーは、ヴァイオリン奏者マーク・フェルドマン Mark Feldman と共に、極めて美しく心地好い作法で異様なフロントラインを形作っている。 |
カーラ・ブレイ Carla Bley
（Watt 34）
| 最初、新メンバーの加入はこれまでとは反対方向を目指す直観に従ったものと映った。なぜならばカーラ・ブレイ Carla Bley は狂暴なまでに奇妙な、聴き手の知性に訴えかけるピアニストであり、かたやパオロ・フレス Paolo Fresu はなんともロマンティシズムたっぷりに気持ちを前面に出してトランペットを奏でる。だがしかし、本作の成果はじつに素晴らしい。両者にとって、ここ数年に発表したアルバムのなかでもこれは最高傑作であることは間違いない。 |
デヴィッド・トーン David Torn
（ECM 1877）
| 久々のECMへの復帰となる本作は、偶像破壊者たるこの特異なギタリストが、自身のキャリアをブックエンドで支えるかのような趣を感じさせる。オルガン奏者クレイグ・テイボーン Craig Taborn の類稀なサポートによって、心理的な歪みを施したエレクトロニックな塗抹標本を、相当な労力を経て獲得したミュージシャンシップと結び付け一体化させている。 |
(c) ECM Records, Munich. Used by
permission.
