homeへ戻る
ECM NEWS topへ戻る
2011年度分のニュース topへ戻る

 ECM NEWSECM情報

Album cover reproduced by courtesy of ECM Records, Munich
●ジャケット写真はECM Recordsの許諾のもと、掲載しております。(musicircus


March 25, 2011

80歳ポール・モーシャン[モーション/モチアン]

Paul Motian at 80

 
 60年の間その自立した音楽芸術を高め続け、今なお現役で容赦のない創造的活動を続ける音楽家ポール・モーシャン[モーション/モチアン] Paul Motian、誕生日おめでとうございます。

訳注=Paul Motian の日本でのカナ表記は慣例的に「モチアン」で通っていますが、当サイトではあえて「モーシャン」を採用しています。
 名前の発音について本人が答えたインタヴューがこちら(
)のサイトにありますが、それによると、彼自身は、この30年間「モーション(Motion)」で統一しているとのことです。
 それ以前の時期は、他人からは「
Motan(モータン)」か「Moden(モーダン)」に近い発音で呼ばれていて、彼自身は「Motian(モーチャン/モーチアン)」と発音していたそうです。
 彼の名前の発音は米国でも議論の的になっている様子で、たとえば、現在は一般的には「モーション(またはモーシャン)」で通っているようですが、本人の出自がアルメニア系なので、正しくは「モティアン(モチアン)」ではないかと言う意見もあります。
 実際、本人がどちらの発音も使っている(いた)のですから、両方とも間違いとは言えないようです。彼と親しいミュージシャンの間でも、
Youtubeのインタヴュー動画などで確認すると、「モーション(モーシャン)」と「モチアン」のどちらの発音も使用例を認めることができます。

 

 他に類を見ない極めて独特なドラム奏者ポール・モーシャン[モーション/モチアン]の遍歴を振り返れば、スコット・ラファロ Scott La Faro と共にビル・エヴァンス Bill Evans の偉大なトリオに属し、続いて、ポール・ブレイ Paul Bley のフリー・ミュージックの原型となるトリオ proto-free trio に参加し(ECM 1003 参照)、次にはキース・ジャレット Keith Jarrett/チャーリー・ヘイデン Charlie Haden/ポール・モーシャン Paul Motian のトリオの結成(ここにデューイ・レッドマン Dewey Redman が加わってジャレットのあの偉大なるアメリカン・クァルテット American Quartet が誕生)と、これまで何回となくジャズの歴史の進路を変えることに寄与してきた存在であることが分かります。

 

 そうしたポール・モーシャン[モーション/モチアン]が吹き込んだ初の「リーダー」作が、ジャレットとヘイデンをサポート・ミュージシャンとして迎えて自らの作曲作品を世に問うた1972年にECMからリリースした《コンセプション・ヴェセル Conception Vessel》(ECM 1028)でした。ヘイデンとモーシャンの共演は、近くECMからリリース予定のアルバム《Live at Birdland》(ECM 2162)において再び聴くことができます(本作には他にリー・コニッツ Lee Konitz とブラッド・メルダウ Brad Mehldau が参加)。

 

 もちろん、何年もの間、ポール・モーシャン[モーション/モチアン]自身がリーダーとして率いてきた多くのバンドの存在を忘れることはできません。おそらく、そのなかでも最も名高いユニットが、1984年にECMからリリースされたアルバム《イット・シュッド・ハヴ・ハプンド・ア・ロング・タイム・アゴー It Should Have Happened A Long Time Ago》(ECM 1283)を端緒として結成された、ビル・フリーゼル Bill Frisell とジョー・ロヴァーノ Joe Lovano とのトリオであることに異論はないでしょう。彼らの音楽活動は21世紀を迎えてなお、ECMからリリースした《アイ・ハヴ・ザ・ルーム・アバヴ・ハー I Have The Room Above Her》(ECM 1902)や《タイム・アンド・タイム・アゲイン Time And Time Again》(ECM 1992)といったアルバムで、継続して発展を続けています。モーシャンは2009年にはジェイソン・モラン Jason Moran とクリス・ポッター Chris Potter と組んだ新しいトリオのお披露目作品として《ロスト・イン・ア・ドリーム Lost In A Dream》(ECM 2128)をリリースし、批評家の絶賛を集めています。

 
 


(c) ECM Records, Munich. Used by permission.


 
  ※本記事は、ECM が発信する最新情報を ECM Records の許諾を得て翻訳掲載するものです。musicircus  

topへ戻る