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 ECM NEWSECM情報

Album cover reproduced by courtesy of ECM Records, Munich
●ジャケット写真はECM Recordsの許諾のもと、掲載しております。(musicircus


Sep 14, 2005

「カルチャースケープス」:アルメニア特集とティグラン・マンスリアン

Culturescapes: Armenia and Tigran Mansurian

 

Photo: Petra Goldmann

 スイスで開催される総合文化フェスティヴァル「カルチャースケープス Culturescapes」では、昨年(2004年)はウクライナ Ukraine の文化全般を取り上げて、なかでも音楽部門はヴァレンティン・シルヴェストロフ Valentin Silvestrov を大きく特集して注目を集めました。さて、今年2005年度の同フェスティヴァルでは、東西両世界の分割線に当たる場所、トルコ Turkey、グルジア Georgia、イラン Iran、アゼルバイジャン Azerbaijan のそれぞれと交叉する点に位置する国であるアルメニア Armenia の文化に焦点を当てて開催されます。
 今年はコンポーザー・イン・レジデンスとして、ティグラン・マンスリアン Tigran Mansurian 1031日から1120日までのフェスティヴァル期間中スイスに滞在し、バーゼル、ドルナッハ、ジュネーヴ、チューリッヒなどで彼の作品が数多く演奏される予定となっています。

 
   フェスティヴァル期間中にコンサートに出演する音楽家は、キム・カシュカシャン Kim Kashkashian、ヒリヤード・アンサンブル Hilliard Ensemble、クリストフ・ポッペン Christoph Poppen、ロザムンデ弦楽四重奏団 Rosamunde Quartet、イリャ・シェップス Ilja Scheps、マーチャ・ドイブナー Maacha Deubner といった面々が含まれ、またマンスリアン自身もピアニストとしてフェスティヴァルが開幕する夜のコンサートに登場する予定です〔キム・カシュカシャンとの二重奏で、「ヴィオラとピアノのための4つのヘイレン Four Hayrens」(1967-2005)の世界初演〕。
 
   今年のフェスティヴァルの音楽部門のプログラム構成の骨子は、アルメニアの宗教音楽または民謡が、今もなおアルメニアの現代音楽に与えている刺激ならびに影響の形態を提示すること、となっています。したがって、たとえばアルメニアのユニークな哲学者/民謡採集家/作曲家である、コミタス Komitas の聖歌と世俗歌曲なども本フェスティヴァルの中で大きく取り上げられます。また、ドゥドゥク演奏の第一人者ゲヴォルグ・ダバギャン Gevorg Dabagian も登場する予定です。

 
   またコンサートでは過去と現在のアルメニア人作曲家の作品に加えて、ショスタコーヴィチ、ドビュッシー、プロコフィエフ、シュニトケ、マショーのほか、さまざまな作曲家の作品がフィーチャーされ、大胆なプログラム内容を一層際立たせています。

 
 ECM New Seriesでは、ロザムンデ弦楽四重奏団によるティグラン・マンスリアンの弦楽四重奏曲集《Tigran Mansurian: String Quartets》(ECM New Series 1905)をリリースしたばかりですが、早くも好意的な批評がいくつか出ています。サンデー・タイムズ Sunday Times には以下のようなレヴューが掲載されました。

 
   マンスリアンの作品を支えている構造は和声の豊かさと美しい旋律の表出にその基礎を置いているが、これはマンスリアンを後期ベートーヴェンに結びつける特徴だといえる。収録曲は、弦楽四重奏曲の第1番、第2番──共に3つの楽章から成る──、そしてマンフレート・アイヒャーに献呈されて昨年(2004)作曲されたばかりの、説得力に満ちた暗い単一楽章の作品「遺言 Testament」。いずれの作品でもロザムンデ弦楽四重奏団の演奏は奇跡的なまでに持続した安定感を保ち、すぐれた達成を見せている。

サンデー・タイムズ Sunday Times

 
 現在ECMではティグラン・マンスリアンの作品の次の新譜準備を進めています。ロバート・ムルケアン Robert Mlkeyan 指揮、アルメニア室内合唱団の演奏によるマンスリアンの新作「アルス・ポエティカ Ars Poetica」を収録したアルバムは、2006年初頭に全世界で発売予定です(ECM New Series 1895)。同作品は1996年から2000年にかけて作曲された「無伴奏混声合唱のための協奏曲」で、テキストにはアルメニアの詩人イェギシェ・チャレンツ Yeghishe Tcharents1897-1937)の詩が用いられています。

 
 


(c) ECM Records, Munich. Used by permission.


 
  ※本記事は、ECM が発信する最新情報を ECM Records の許諾を得て翻訳掲載するものです。musicircus  

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