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場面四 |
手代（源）、たいこもち（八）、座頭（五）と一緒に毎夜宴会 |
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【M２】富本節「藤娘」の中の「潮来出島」： 十二吋盤『富本節 稽古娘・藤娘』（クラウンSW-5005） 演者；芝屋以月・芝屋以文（浄瑠璃）、芝屋以祥・芝屋以信（三味線） |
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【M３】長唄「藤娘」の中の「潮来出島」（潮来節）： 十吋盤『長唄 藤娘』（コロムビアCLS-3 ステレオ盤） 演者；芳村伊十郎（唄）、杵屋栄次郎（三味線）他 |
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【M４】潮来出島（端唄）： 十吋盤『藤本二三吉 端唄傑作集 第四集』（コロムビアDL-41） 演者；藤本二三吉（唄）、小静・豊吉（三味線） |
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| 大店を継いだ途端、日夜酒宴です。手代［てだい］の源四郎と、たいこもちの万八［まんぱち］にすすめられて芸者をあげました。按摩の五市［ぐいち］も呼ばれて肩を揉んでいます。女芸者は三味線弾き語りで、「〽四ッ谷アアアア、新宿、馬糞の中によ、女郎あるとはつゆ知らず。来た来た来た来た 讃岐金比羅」などと唄っています。お座敷の景気付けの俚謡［りよう］や流行歌など、いわゆる「さわぎ唄」が奏でられている場面でしょう。女芸者の唄は潮来節「潮来出島［いたこでじま］」の替え唄です。本来、しっとりした曲調の唄ですが、あまりの下品な歌詞に読者は呆れつつ喜んだことでしょう。 |
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| 「潮来出島」は茨城県の潮来で生まれた船頭唄が元で、潮来のお座敷で流行り、それが江戸に伝わり広まりました。江戸では最初、歌舞伎舞踊「藤娘」の富本節に含められ大人気となり、その後同舞踊の長唄に含められてさらに人気を博して定番となり現代に至っています。富本節版、長唄版、どちらもしっとり良い味です。はい、お座敷版もですね。鶯歌手さん（唄の格別上手な芸者のこと）によるお座敷版が出ています。しかし、下品な替え唄ぢゃありませんよ。 |
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| 「〽潮来出島の 真菰［まこも］の中に あやめ咲くとは しおらしや サアよいやさ サアよいやさ
（＊繰り返し） 〽宇治（富士）の柴船 早瀬を渡る わたしゃ君ゆえ のぼり船（＊） 〽花はいろいろ 五色に咲けど 主に見かへる 花はない（＊）」 |
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| 歌詞は七七七五で、お気付きのようにこれは都々逸の形式です。実際、都々逸のルーツとも言われています。 |
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| ちなみに、この戯作［げさく］の当時、芸者とは、唄、三味線などの楽器演奏、踊りでお座敷などの場を和やかにしてくれる職業の方々です。女芸者・男芸者の区別もありました。少しだけ歴史を申しますと、『金々先生栄花夢［きんきんせんせいえいがのゆめ］』出版の少し前あたりからそうした技芸専任の女性が吉原に増えてきたようです。それ以前、芸達者な遊女がそうした技芸も兼務していましたが、技芸軽視が強まり、『金々先生栄花夢』の少しあとの安永八年（1779）には百名を数える女芸者が出勤していたとのことです。「吉原細見［よしわらさいけん］」には「男芸者」「女芸者」のリストが乗っています［●＊ 1］。男芸者の名前をみると、河東節、荻江節他、様々な流派の唄方の人たち、太鼓持ち（幇間［ほうかん］）、声色師［こわいろし］などが含まれます。声色は物真似のことです。太鼓持ちの得意芸の一つが声色で、この戯作では、万八は声色を使って歌舞伎役者の声色・物真似で盛り上げています。遊郭に属さない芸者もいました（町芸者）。 |
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●＊ 1 |
別掲「カンパニー社謹製かわら版 令和七年夏季 號外（通巻三）」ご参照 ▼ | |||||||
| この件について、立派な本をご希望でしたら、田中優子著『芸者と遊び』（角川ソフィア文庫／学研新書）、藤井宗哲著『たいこもち（幇間）の生活』（雄山閣）がございます。 |
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